過去公演
第二回公演【ケージ】
2011年8月4日(木)〜7日(日) @池袋シアターグリーン BASE THEATER
シアターグリーン学生芸術祭Vol.5参加作品
作・演出:酒井一途
出演:中田暁良 / 笹木皓太(創像工房in front of.) / 毛利悟巳
朝戸佑飛 / 池田周大(慶應義塾演劇研究会) / 小林依通子
――自分を認めれば、世界を違う目で見られるようになるんだよ。
それって、世界に革命を起こすんじゃない?
■ 序文
『ケージ』は現実と理想の闘いの物語である。
現実を諦観し、理想を夢見ない若者に僕は危惧を抱いている。
しかしながら現実の伴わない理想では、何事をも為し得ないこともわかっている。
肝要なのは、そのことを理解した上でいかに思考し行動するかだ。
答えの出る問題じゃない。私たちは生きている限り、闘い続けなくてはならない。
いつの日かその必死の生を振り返り、己に恥じぬ生き方であったろうか、自問自答する。
その時に、ある理想地点へと到達することができていればいい。
十七歳の時に理想を胸に刻み、この作品を執筆した。
そして十九歳になった現在、再演の必要性に駆られた。
それは過去を呑み込み、また新たな一歩を踏み出すため。
何より未来こそが過去を支配するべきものなのだ。
さあ、果たして今の僕は、二年前の僕が理想とした地点に立てているだろうか。
どうだい、二年前の僕?
作・演出 酒井一途
■ ごあいさつ(当日パンフレットより抜粋)
私たちの目は近視になった。先の見えない未来であるのに、そこには確実に現在の延長線が続いていくことを信じている。何か大きな変化が起こることなど想像しないし、また望んでもいない。それがゆえ、すっかり遠くを見る目を失ってしまった。
対して共産主義を信じることのできた時代の若者は、遠視だったのではないかと思われる。今現在の状況を把握する前に遠き未来へと目を向けた。社会変革を志すに当たり、時代遅れな左翼思想に一身を預けたのが、時代を読み切れていなかった証左である。彼らは足下の石に気付けずに、躓いて倒れた。
不思議なものだ。方向性こそ違えど、若者はいつだって社会に不満を抱いている。閉塞を感じる生き方に反発しようとしている。なのにその表現方法があまりにも稚拙だ。どうしてこうも極端なのか。僕は両者共に対して懐疑心を抱かずにはいられない。現実を諦観するではなく、しかと見据えつつ、それでもなお理想を追い求めることはできないのだろうか。
私たち、つまり現代の若者は、道端の電柱に頭をゴツンとぶつける前に、目の矯正をした方が良い。近視には然るべき凸レンズの入った眼鏡が必要となる。その眼鏡とは、理想を胸に抱けども、目の前を見ようとしなかった四十年前の全共闘世代を知ることにあると考えた。 そうして僕は、夢見ない現代の若者と、全共闘の若者の邂逅から始まる劇を作った。なにかしら受け取ってもらえるものがあれば、これほど嬉しいことはない。
■ お客さまの声
時々、言葉の力に圧倒される瞬間がある。
本の中の一文、街中の広告、何気なく放たれた会話のひとこと。
昨日観た「ケージ」という演劇はまさにそうした言葉の力に溢れた演劇だった。
(Blog"Nuit Blanche"より、木許裕介様のご感想)
作者は19歳だが、この題材で背伸びした感じがしないのは才能だと思う。人間関係がギスギスせずに自然と融和に向かうところには(批判的な意味でない)現代の若者の自意識とリアリティを感じた。
(twitter@nueteki_0706より、脚本家・高木登氏のご感想)
テーマがよく、人物のキャラクターもはっきりしていて、よくまとまっていたと思います。何よりも、娯楽として観るだけでなく、社会的な視点が裏付けにあり、手法にも好感が持てました。
若い人が演劇を通して、前の時代にも思いを馳せ、こういうメッセージを届けてくれるのも大変うれしく思いました。日本の未来もまだまだ捨てたものじゃないぞって心強くなります。
次回作も期待できそうです。
(CoRich舞台芸術!きゃる様のご感想)
政治思想あり、友情あり、恋愛ありというバラエティーに富んだ設定の中で、登場人物の描き方が一辺倒ではなく、多角的で深かったのがとても良かった。まさに、戦後の若い世代がたどった精神史のまとめ的作品。
(CoRich舞台芸術!数学者の奥さん様のご感想)
なんだかすごくまっすぐで、透明で、眩しくて、それでいて燃えるように閃くように生きていて。
眩しかった。ノックアウトされました。心から観てよかったと思える舞台だった。
(twitter@Shion_Satonaka様のご感想)
学生演劇で「親子3代で楽しめる作品」って少ないのでは?
「あの時代」の意味、そして、未来も我々の現在の行動にかかっているということを実感させられる作品。大人にこそ観てほしいと思う!次の演劇世代は手強いぞー。
(twitter@hanacokker様のご感想)
とにもかくにもストーリーが素晴らしいと本気で思う。このところ、全共闘を題材にした舞台は数多く観てきたが、ここには希望とロマンがあった。
(初演時/CoRich舞台芸術!みさ様のご感想)
■キャスト
中田暁良
笹木皓太(創像工房in front of.)
毛利悟巳
- - - - -
朝戸佑飛
池田周大(慶應義塾演劇研究会)
小林依通子
■ 公演日程
4日(木) 19:30~
5日(金) 14:00~/ 19:30~
6日(土) 12:30~/ 16:00~
7日(日) 12:30~/ 16:00~
※受付・開場は開演の30分前
☆アフタートーク開催決定いたしました!
4日(木)19:30の回 保坂展人氏(世田谷区長)
6日(土)16:00の回 松枝佳紀氏(「日本の問題」企画者)
※各公演終了後、30分前後のトークを予定しております。
■チケット
学割(前売のみ)1500円
■スタッフ
音楽:酒本信太
照明:山崎佳代
照明協力:森田三郎
舞台美術:加藤藍子
宣伝美術:KOTA OZAWA
宣伝写真:奥山由之
舞台監督:垣内佐知
大道具製作:高木宏昌
演出補:有吉宣人
当日運営:丸山立
企画・製作:ミームの心臓
■協力(敬称略・五十音順)
アリー・エンターテイメント 演劇ぶっく Confetti 慶應義塾演劇研究会
CoRich舞台芸術! シアターガイド シアターグリーン 創像工房in front of.
臼田典生(ショービズプランニング) 齋藤浩樹 佐藤大志
■公演写真
クリックすると、大きな画像で表示されます。撮影:毛利修一郎さん